商店街に行っても「買いたいものがない」。そんな声を聞くたび、私たちは街の「利便性」ばかりを改善しようとしていないだろうか?
もし、街の価値が「物」ではなく「人」との関わりにあるとしたら。プロスポーツクラブに入社して5年、地域連携や営業の現場を駆け回ってきた私が実感している、行政補助金に依存しない、持続可能な地域創生への仮設を共有したい。
1. 補助金は「呼び水」。自走する商店街のビジネスモデルとは?
地域活性化のプロジェクトにおいて、行政の補助金はありがたい存在だ。しかし、そこに頼り切ったモデルは、行政側の担当者や方針が変われば霧のように消えてしまう。現場で数々のプロジェクトを見てきて、これが最大の弱点だと痛感している。
本当に持続可能なビジネスモデルとは、受益者負担の原則に基づいていることだ。商店街であれば組合費や、地元の熱い想いを持つ企業の出資、あるいは共感者によるクラウドファンディング。これらが健全な循環を生む。私がこの5年間、スポンサー営業の現場で学んだことで言えば、協賛金を単なる「広告枠の対価」としてお願いするのは終わりの始まりだ。
パートナー企業様に「これを払うことで我が社の価値が上がる」「共にこの街の一部になれる」という誇りを持っていただける提案ができるか。その「着火点」を現場で作ることこそが、健全な収益の源泉になる。
2. 「利便性」を売るな。「物語」を売れ。現場で気づいた強火な価値提案
私たちはつい、商店街を「ドラッグストアや便利な店が集まるショッピングモール」のように見せようとしがちだ。だが、オンラインで何でも手に入る現代、その土俵で戦えば、資本力のある大手には到底勝てない。
日々商店街を歩き回る中で気づいたのは、商店街が目指すべきは「利便性」ではなく「人間くさい機能」だということだ。「この店に行けば、店主と旬の食材について語り合える」「世間話のついでに家事や子育ての相談に乗ってくれる」。そんなデジタルには代替できない体験こそが、現代において最強の「強火」なコンテンツになる。
徒歩500メートル圏内に住む人々を、単なる買い物客ではなく、この街の営みを愛する「関係人口」へと育て上げていく。そこには、ただ消費するだけではない、深い愛着が生まれるはずだ。
3. 子供110番×クラブ愛――街中に広がる「対話のハブ」という未来
先日、後輩とのミーティングで飛び出した「子供110番の店にクラブのカラーを添える」というアイデア。これには現場目線でもハッとさせられた。従来の「子供の駆け込み寺」という機能に、「ここにはサッカー好きの店主がいて、安心して対話ができる場所だ」という目印をステッカー等で可視化するのだ。
これが街中に500、1000と広がったとき、商店街は「何かを売る場所」から「安心という対話が生まれる場所」へと進化する。誰にとっても、クラブの話題を通じてちょっとした世間話ができる場所があることは、街のQOL(生活の質)を劇的に向上させる。
これこそが、スポーツクラブの熱量を地域に還元していく、極めて現代的で、かつ人間的なコミュニティビジネスの雛形になり得ないだろうか。